外国判決の効力

25f1d56c8cc254a0d29ad20cf2896e2a_s例えば、外国で相手方が提起した離婚裁判で、相手方の請求が認められた場合、子どもの親権者指定や引渡の裁判において、相手方の請求が認められた場合、その判決の効力は日本で生活する人にも影響するのでしょうか、ここでもこの外国判決の効力について、ご説明いたします。

民事訴訟法の条文

外国判決については、民事訴訟法118条が適用され、この要件を満たせば、日本にも効力が及びます。

なお、一部の学説において、離婚判決には民事訴訟法118条は適用されないという見解もありますが、判例やほとんどの学説では全面適用の立場を取っています。したがって、民事訴訟法118条の要件を満たすか否かが実務上は重要となってきます。

 

※民事訴訟法118条

(外国裁判所の確定判決の効力)
外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
①法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
②敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
③判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
④相互の保証があること。

 

①の要件

法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められることが要件となりますが、「法令又は条約」が欠けているため、その基準が問題となります。
この問題については、わが国から見て当該機関の国際裁判管轄権行使が許容されることが要求されるというのが判例の立場です。

 

②の要件

外国裁判所から訴状や呼出状の送達(公示送達は除かれます。)がなされることが必要となります。これに関して、アメリカの裁判所から訴状等が直接郵送された場合で、司法共助に関する所定の手続を履践せず、翻訳文も添付しない単なる郵送による送達がなされたケースで、この要件を満たさないとした裁判例もあります(東京地判昭63.11.11)。

 

③の要件

これは離婚判決を承認する結果がわが国の公序を害するに至る場合はその効力を認めないというものです。例えば、人種、若しくは宗教上の相違を離婚原因としたような外国判決等が想定されていますが、実務上、該当例はほとんどないでしょう。

 

④の要件

この要件は、同種類のわが国の判決が当該外国において、わが国と「重要な点で異ならない」条件の下で承認されることと解されています。離婚については、多くの国が承認に友好的であり、外国離婚判決がこの要件を満たさないことはあまりないといえます。

 

 

 

外国における親権者指定、子の引渡し等の裁判の効力

親権者指定等の裁判のような非訟事件については、民事訴訟法118条を全面的に適用すべきか否かについて、争いがあり、判例や学説も区々といった状況です。