返還申立事件の流れ

① 援助申請

残された親は、弁護士に依頼するか、もしくは、外務省に弁護士紹介を依頼します。
また、相手方(連れ帰った親)や子どもの住所が分からない場合は、外務省に返還援助申請を行い、調査をしてもらいます(調査結果は、裁判所にのみ開示されます)。

 

② 申立て

残された親は、東京家庭裁判所もしくは大阪家庭裁判所に、子の返還手続の申立てを行ないます。
連れ帰った親から、返還拒否事由の主張が予想されるときは、申立て段階で反論、反証しておく必要があります。
また、返還事由に関わる証拠は、申立て段階で提出しておく必要があります。

 

③ 出国禁止命令・旅券提出命令の申立て

子が、連れ帰った親から、日本国外に連れ出されるおそれがある場合の手続です。
残された親は、返還手続事件が係属している裁判所に、返還手続を申し立てると同時に、出国禁止命令・旅券(日本のものに限定されません)提出命令の申立てを行うことができます。
この命令が出されると、連れ帰った親は、子を国外に連れ出すことはできなくなります。また、旅券を提出しない場合は、20万円以下の科料が科される可能性もあります。

 

④ 第1回期日…争点整理(申立てから約2週間後

連れ去られた側の親は、実質2週間で、答弁書(返還を拒否する事由があることを記載した書面)を提出する必要があります。
スピーディーに手続が進むため、連れ帰った親側も、主張の根拠となる書証を早めに出す必要があります。意見を述べる陳述書(外国人の場合は、翻訳しておく必要があります)も、2週間以内に準備しておかなければなりません。
この期日で、和解が可能かどうかという話し合いがなされることもあります。

 

⑤ 第1回~第2回期日

第1回期日の審理を踏まえ、双方で準備書面や書証を準備し、提出します。
また、調査官調査(お子さんの意向の調査)が行われる場合は、この間に行われます。

 

⑥ 第2回期日…実質審理(申立てから4・5週間後

必要があれば、当事者本人の審問も行われます。
この日に審理は終了するので、これ以後は主張を追加できません。

 

⑦ 裁判(申立てから約6週間後

返還命令、もしくは返還請求を認めないとする決定が出されます。
内容は、お子さんにも告知されます。

 

⑧ 即時抗告

裁判所の判断に異議がある方の親は、終局決定から2週間以内に、即時抗告という異議申立てを行うことができます。

 

⑨ 執行手続

返還命令が出たにもかかわらず、連れ帰った親が子どもを返還しない場合には、強制執行がなされます。

 

 

もっとハーグ条約について知りたい方はこちら

●ハーグ条約とは ●外国にお子さんを連れ去られてしまった方
●外国から日本にお子さんを連れ帰った方 ●子どもを返還しなければならない場合
●ハーグ条約による援助 ●管轄裁判所
●返還申立事件の流れ ●返還を拒否できる場合
●残された親からの虐待・DVがある場合